カンザス滞在記 【2006/4/19〜2006/5/2】
- 2006年5月2->3日
朝5:45のフライトでアトランタへ移動し、それから成田へ直行便、
合計16時間のフライトでした。とても疲れました。
- 2006年5月1日
今日でマンハッタンを発ち、帰国のため移動を開始するのですが、最後にと
午前中は Roitman 氏に聞きたかった問題について色々と話し合ってもらいました。
さすが Roitman, とても適切なアドバイスを頂けました。
考えていた問題は彼の一言で解く道筋を立てることができました。
午後に少し Hoehn 氏と打ち合わせをして、今日は空港のあるカンザスシティまで移動です。
が、やはりアメリカンクオリティ、待てども待てどもシャトルバスが来ず、電話で問い合わせても
だめで、結局2時間半待ちました。
明日は朝早いので空港近くのモーテルに泊まったのですが、夕食に取ったデリバリーの中華で
アメリカの意地?を見せつけられました。とてつもない量でした。
- 2006年4月30日
今日は午後からまた Hoehn 氏の自宅にて研究討論をしました。
さすが広大なアメリカ、家もでかいです。
地下一階はさながら Hoehn 氏のオフィスといった感じで、広い床一面に
文献がおいてあり、一緒に寝っころがりながら文献をあさり、討論しています。
今日は話題を変えて、ベビーモンスターについて色々と話し合いました。
- 2006年4月29日
今日は休日なので、Hoehn 氏が家族とともにハチンソンという町にある
航空・宇宙博物館に連れて行ってくれました。
かなり田舎の町だったのでどんなものかと思っていたら、第2次世界大戦のドイツのV2ミサイル
に使用されたロケットエンジンの展示から始まり、ドイツの技術が終戦後、アメリカと
ソビエトの両陣営に流出し、ソビエトがスプートニクの打ち上げに成功したことで宇宙開発競争が
始まったと解説されていました。
その当時の社会風景とともにいかに技術が発達していったかが解説されており、
単にものを展示してお茶を濁しているような日本の博物館とは異なり、時には社会風刺の
ようなすごくディープな解説もあってとても面白い博物館でした。
決して米国だけにフォーカスを当てている訳ではなく、ナチスドイツ、ソビエトと時代時代に
最高の技術を持っていた国とその業績を平等に紹介している点も好印象です。
時には自虐的とも言えるほど、政治的中立性を過度に求める日本ではこのような博物館を
作ることは難しいでしょう。
- 2006年4月28日
こちらでは今日は雨でした。
天気予報を見ると雷雨・サンダーストームなどと出ており、こりゃ外は歩けないと
思い今日はモーテルでおとなしくしようと思いました。
しかし Hoehn 氏はとても親切に、授業が終わってからモーテルまで迎えに来てくださり、
Hoehn 氏の自宅にて研究討論となりました。
ランチにディナーにと、Hoehn 氏の奥さんには毎日大変お世話になります。
- 2006年4月27日
今日もまたお昼に Hoehn 氏の自宅へ招かれました。
ランチに美味しいタイ料理を頂きました。お世話になりっぱなしです。
そこで、夕方から芝刈りを手伝い、今日の夕食はおごらさせていただきました。
こっちに来たら一度は食べたいと思っていたステーキのお店へ連れて行ってもらいました。
こっちの単位が良く分からず、とりあえず 20oz というのは危険だと思われたので 12oz の
ものを頼みましたが、後で計算したら 330g 以上あるようですね。
さすがに食べきれず、テイクアウトとなりましたが、ブランドのアンガス牛を使っているらしく、
美味しく頂くことができました。(ただし、塩胡椒で食べるのが吉です。)
このレストランでは地ビールも出してくれるのですが、ここで飲んだエールは
とても美味しくて、ちょっとエディンバラの夕食を思い出しました。
- 2006年4月26日
今日はとてもいい天気でした。
ここのところ毎日近況を書いていますね。これじゃ近況じゃなくて日記になりますなぁ。
さて、今日は Hoehn 氏は授業の日なので午前中は構ってもらえませんでしたが、
Hoehn 氏の家にランチに招待されました。
奥さんはタイ人の方で、美味しいタイ料理をご馳走になりました。
日本人なので米を食べると嬉しくなります。
その後、Hoehn 氏の自宅の部屋で計算機を使っていろいろと計算をし、指標表を使わなくても
なんとかなりそうだという結論が得られました。
Hoehn 氏は Mathematica と Magma、両方に精通しているようで、ちょっと試したいことが
あるとささっと計算機を回してしまいます。
ここまで自在に扱えるとは羨ましい限りです。私も少し勉強しようと思いました。
さて、その後夕食もご馳走になりました。
今度はドイツ風料理です。スープから始まって、デザートまで出るというフルコース料理でした。
大変美味しかったです。
- 2006年4月25日
昨日の夜は時差で眠い中、遅くまで論文の手直しをしていたため、今朝は少し寝坊してしまいました。
大学まで早足で歩いて行こうと思い、上着一枚で外に出たところびっくりするぐらい寒いじゃないですか!
寝坊したのでそのまま大学へ行ってしまったのですが、大学の温度計によると摂氏7度^^;
これは寒いわけです。
今日も Hoehn 氏と文献をあさりながら研究討論をしました。
夕方にお客さんのセミナーを聞いた後、カンザス州立大学数学科の Awards Banquet というディナーに
参加させて頂きました。
部外者の私ですが、Hoehn 氏が予約を入れておいてくださいました。
色々な学内賞の授賞式を兼ねたかなりフォーマルなディナーで、Hoehn 氏はスーツに着替えていましたが、
私は上着を着てこなかったのでカジュアルな格好のままです。
食事はいかにもアメリカ風といった感じのもので、ランチに食べたものと被ってしまいましたが普通に
美味しかったです。
しかし、食べ終わってからの授賞式が長いこと^^; あれこれ2時間弱、ずっと静聴しては拍手をしていました。
これもアメリカの文化を知るいい経験になりました。
- 2006年4月24日
昨日の夜から朝にかけて断続的に雨が降っていました。
朝食をとっている間は結構降っていたので、大学まで歩いていくのがかなり憂鬱だったのですが、
出かける直前になってやんでくれたので助かりました。
今日は午後から Hoehn 氏とディスカッションをした後、16:30からセミナーで
「framed vertex operator algebras and frame stabilizers」というタイトルで講演を
させていただきました。
講演時間が50分しかなくて、自分の結果を話せたのは最後の10分程だったのですが、
非専門家向けの講演なのであまりテクニカルなことは話さなくてよかったと思います。
頂点作用素代数のガロア理論の話題も織り込んで話をしたのですが、こちらがすごく好評で、
自分の結果との関連についていくつか質問を受けました。
自分が考えていなかった視点からの助言も頂けてためになりました。
- 2006年4月23日
今日も日曜日で休日なのですが、昨日 Hoehn 氏に議論をしたいと言われましたので、
大学へ行こうとしたところ、ちょうど Hoehn 氏が迎えに来てくれました。
大学へ行くのかと思いきや、Hoehn 氏の友人とともに近く(といっても車で30分)の町で
行われている Tulip Festival へ連れて行ってもらえました。
今年の春は暖かかったようで、残念ながらほとんどのチューリップはすでに枯れていましたが、
とてもいい天気の中でアメリカのお祭りを楽しむことができました。
こちらでは私が来てからずっと天気に恵まれており、毎日日焼けしてしまいます。
アメリカではサングラスは欠かせないようですね。
天気のいいに日みんなでわいわい楽しむ、そんなアメリカ人の暮らし方を垣間見て、
アメリカでの暮らしに憧れを感じてしまいました。
しかしやはり数学者が二人集えばついつい数学の話に熱中してしまうもの。
今日も Hoehn 氏の友人達に "Stop mathemtatics!! It's holiday!" と言われてしまいました。
いや、私は遊びたいんですけど、Hoehn 氏が止まらないんですよねぇ。。。
- 2006年4月22日
今日は土曜日なので、モーテルでゆっくり過ごす事にしました。
というのも、こっちでは家族サービスが重視されますので、休日に Hoehn 氏に
大学へ来てもらうのは悪いと思ったからです。
ところが、ランチを終えて帰ってくると Hoehn 氏から「今どこか?」というメールが来ていました。
電話で連絡をしたところ、Hoehn 氏、研究意欲満点の方で、今日も研究討論をしたかった模様ですが、
休日ということもあって昼からビールを煽った私は「今日はちょっと休みたい」と言って見逃してもらいました。
こっちでの食事について一つ。
アメリカの食事はよく不味いと言われてますが、短期間の滞在ならば食べ物を選べば問題ないと思います。
以前エディンバラへ赴いた際には食事があまりにも不味く、かなり萎えたのですが、ここアメリカでは
様々な外国料理を食べることができます。
私の泊まっているモーテルのすぐ横にはスーパーマーケットとメキシコ料理店があり、食事や日用品に
ついては大抵これらの店で用が足ります。
ただし、こちらのレストランは日本に比べて少し割高ですね。
水などは500mlが25本で$4しないなど、かなり安かったりしますが、他はそれほど物価の違いを感じません。
外食が多い来訪者の場合、自炊はほぼ不可能ですので、食事は外食がメインになります。
一品一品の量は物凄く多いのですが、一人で食事に行く場合には当然シェアができませんので、
レストランでは一食当たり$10-15程必要に成ります。
マクドナルドでも値段は日本とそれほど変わりませんので、そう考えるとよく物価が高いと言われる
日本ですが、アメリカと比べた場合大して変わらないと思います。
- 2006年4月21日
今日は歩いて大学まで行きました。
ここは車社会のアメリカ、歩道がぜんぜんありません。
米国版Yahoo!のドライバーマップで調べたところ、モーテルから大学までは
およそ2.6マイルでしたが、やはりちょっと遠かった模様で一時間弱かかりました。
今日はとても暖かく、結構汗をかきました。
買い物・食事はカードで済ましており、現金をほとんど持っていないため、
自販機でジュースが買えずちょっとふらふらしてしまいました。
午前中は Hoehn 氏は授業があるので、その間に同じカンザス州立大学の
Roitman 氏に挨拶をしてきました。
彼は自由頂点代数の概念を導入し、その基底と局所性の位数を組み合わせ論的計算から具体的に
求める結果を出しており、それらの結果を元に、一般の可換非結合代数を Griess 代数に持つ
頂点代数を構成する結果を発表しています。
これらの結果は私の研究に応用できると考えており、前々から一度会って話をしたいと思っていました。
今週は少し忙しいようでしたので、来週に研究討論をしてくださるようお願いしたところ、
快く承諾してくれました。
少し話をしただけでしたが、年も近いためか、Roitman 氏はとても親近感の抱ける人でした。
その後、授業を終えた Hoehn 氏とランチをとり、午後から研究討論をしました。
彼はムーンシャイン現象における種数 0 の話にとても興味があり、4A元に関する私の最近の結果を
話したところ、跡形式を考えた場合には面白い状況になるようで、彼はかなり興奮していました。
私も generalized moonshine について色々と教えていただきました。
どうも、Fricke 対合と不動点代数の自己同型には何か関係があるようです。
あれこれ話しているうちに夕方になり、お別れとなりましたが、来週の月曜日にセミナーで
話をさせて頂く運びとなりました。
- 2006年4月20日
今日から Hoehn 氏と研究討論です。
朝九時に Hoehn 氏がモーテルまで迎えに来てくださり、彼の研究室へ案内して頂きました。
討論をしながら色々と手続きを済ませた後、昼下がりに Hoehn 氏の家に招待して頂きました。
Hoehn 氏には2歳ちょっとの子供がいるのですが、この子が可愛くて可愛くて。
ついつい構ってしまいます。
その間も Hoehn 氏は子供そっちのけで大声で数学の話をし続けてました。
夕方にモーテルまで送って頂いた後、近くのスーパーマーケットで買い物をしました。
Hoehn 氏の奥さんが会員証を貸してくださり、安く買い物をすることができました。
ホント、色々とお世話になります。
ホテルに帰ってからは論文の計算ミスを埋めるべく、計算機を走らせたのですが、
はしょって効率の悪いプログラムを書いたため一向に終わりませんでした。
ラップトップは熱に弱いのでそのせいかな?と思いつつ、エアコンから冷風を当てて
みるなど色々とやってみたのですが、プログラムをちょちょっと手直ししたらものの
一分で答えが出ました。
いくら計算機が発達したとは言え、やはり使い手がしっかりしなければ駄目なんだなぁと
改めて思いました。
- 〜2006年4月19日(米国中部時間)
現地時間の23時過ぎにカンザス州はマンハッタンに着きました。
今回の移動はかなり疲れました。
寝ずに成田空港へ行ったので、機内に入るとすぐに寝ることができましたが、
やはり狭い機内、深く眠ることができず何度か目が覚めてしまい、とても
疲れが残りました。
さらにはタイミングの悪いことに、機内食が配られている最中には全く目が覚めず、
みんなが食べ終わって回収している時に目が覚めてしまい、空腹のまま機内で
過ごす羽目になりました。
受難はさらに続きます。
審査官のマイペースっぷりによるためか、アメリカの入国審査が物凄く混んでいて、
さらには国内線乗り換えの際に受けるセキュリティチェックが休止状態にあり、
そこでは日本ではありえない程の渋滞に会いました。
ここでも空港職員はマイペースに終始していました。
その影響で乗り継ぎの便も遅れた模様で、カンザスシティまでは無事移動できました。
しかししかし、最後の移動である、マンハッタンまで行くシャトルサービスが待てども
待てども一向に来ない…。
アメリカ人はみんなマイペース過ぎる気がします。
これをアメリカンクオリティと言うのでしょうか??
日本の素晴らしい交通環境に慣れているためか、かなりのストレスを感じてしまいました。
それでもアメリカの良さも感じることができました。
今回 Hoehn 氏が予約してくれたのは
Super 8 Motel という
いかにもアメリカンな名前のモーテルなのですが、とても広く、各部屋にコーヒーメーカが
あり、高速ワイアレスLANも完備という素晴らしいモーテルでした。
ここに2週間お世話になるのですが、近くにスーパーマーケットもあり、とても
快適に過ごせそうです。
しかし、ここはマンハッタンという名前とは裏腹に、何もないところだそうです。
ちなみにカンザスシティはカンザス州のとなり、ミズーリ州にあります。何故??
これもアメリカンクオリティ??
- 2006年4月19日〜
今日から5月2日(帰国は3日)まで、Kansas州立大学
の Gerald Hoehn 氏のところへ
研究打ち合わせに行ってきます。
Grant の都合上急遽来て欲しいとの話で、4月は私もなかなか忙しかったのですが、
とても親切に案内情報を送ってくださったので、それならばと伺うことにしました。
出発までに健康診断を済まし、色々な提出書類を頑張って書き上げました。
論文の方も書き上がり、あとは英語のチェックをするだけと、綺麗な身体になって(!?)
の出発です。
長いフライトはとても退屈なのですが、今回は一計を案じました。
昨日から寝ないで空港へ行き、離陸と同時に寝る作戦で行きたいと思います。
Hoehn氏は研究内容で重複したこともあるくらい私と似た研究課題に興味を持たれており、
モンスターに関連する共同研究ができればと考えています。
今回の訪問で密度の濃い討論ができることを期待しています。
戻る